[コメント] JSA(2000/韓国)
あえて言う、本当のところ世界は統一を望んではいないはずだ。この作品もその悲劇を予言している。
南北が対立し緊張を持ち続けることで、互いの政府は寿命を延命しているということを否定は出来ないだろう。雪解けムードが高まれば、北は南との格差と劣等感に目が向き、2代目への求心力が薄まる。同様に南は経済政策の失敗にマスコミが集中できる環境が整ってしまう。そしてアメリカは半島に拠点を失う可能性もある。
まがりなりにも現在の東アジアは安定している。しかし、この安定はいずれ来る北朝鮮の崩壊でバランスは崩れ、中国・日本・ロシアへの大量難民を招き、さらに負の遺産を抱え込んだ韓国はドイツのように上手く復興出来るとは思えない。
家族が分断された悲しみは筆舌に尽くしがたいものがある事は分かる。しかし、分断から半世紀が過ぎ、分断と戦争を経験しない世代に交代していくにつれ、分断という現実も観念的に捉えていくようになるのだろう。
この作品の兵士たちのように単純に人間対人間としての交流や友情を持ちたいという願望や持てるはずだという期待は今後も当然ある。 しかし、しりとりや酒を酌み交わすという行為の代償が悲劇的な結末をも同時にもたらすだろうという事も世界は知っている。
監督が何故、あえて悲劇的な結末を選択したのか?彼らも充分知っているのだ。韓国は国境の緊張がある故に豊かな暮らしを得ている事を・・・
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