彼の映画はむなしい。監督は劇映画はもちろんテレビも物語も人間も何も信じていないように見える。「フィクションとドキュメンタリーのあわいに面白い表現がある」と本人が表明しているし、彼の作品をめぐる文脈もそういう指摘が多い。

監督の「懐疑」を逆手にとる方法論はクレバーだ。問いかける投げかけるのみ。 # あなただったらどうしますか？ # 誰が被害者で誰が加害者なのか誰に決められる？ 以下以下。しかしながら当然そのクレバーさはどこまでいってもどこにも到達しない。それがむなしい。それこそが彼の意図というのが本当にクレバーでイヤだ。

「誰が加害者か被害者かなんて分からない」 だからどうなんだってことをこっちは見にきてるのに。 制作者がどう思ってるか表明しない映画をなんで金払って見なきゃいけないんだ。