[コメント] 妻は告白する(1961/日)
まさに、仕草と上目使いの女王。甘そうに聞こえる吐息も、「あぁん」とため息が漏れる度に、ずずずぃっと心に入り込んでくる。ホッチkissさんが惚れたという、松浦あやちゃんの確信犯的な上目使いを遥かに凌駕する目線女優が40年も前に確立されていたとは驚きだ。しかも、こっちは本当にそのまんまの、普段からこんな感じの人なんじゃないか?とまで思わせる迫真のキャラ立て。ずぶぬれで会社に押しかけた若尾さんの、何と怖い事。思わず「ひょーえー」と声を挙げてしまって、更に「来てはいけなかった?」と、つれっと言うあたり、ものすごい。見ているこっちまで、「やべぇ」って感じがしてくる。
若尾さんの飛びぬけた表現の所為か、彼女以外の俳優達がみな、ベタベタすぎるので、異常に引き立っているように見えるのかもしれない。特に川口浩とのギャップがスゴイ。彼はぜんぜん会社一番の期待のホープに見えないし、会話からいって切れ者とは思えないし、元婚約者とも吊り合ってない。あ、いや、そもそも、それも狙いであり演技だとしたら、いかん、完敗だ、俺の。でも多分、彼は単に演技ベタなんだろな。そう思う事にしたい。川口さん以外の役者はそこそこ良かった。馬淵さんが裕福な家庭の人ってよりは一番利口な人という感じがしないではない。毅然とした態度が若尾さんと対をなしてて、面白い構図だった。っつーか、単に川口さんだけがボケなんじゃないか?まあ、いいや。
しかし、いちいち「夫殺しの女だ」と言って顔を覗き込む男たち。舌打ちしながらお茶を用意するおばちゃん。づけづけと質問を浴びせてバシャバシャと写真を撮る文屋たち。時代だなぁ。昭和30年代。すさんでるなぁ、と思いつつ、なぜか、巨人の星の「スクープ頂き!」といってバシャバシャ写真を撮るシーンを思い出してしまった。あんまり関係ない話だけど。
母さんの「文子ちゃんきゅ〜〜〜」にツラレタわけだが、うん、見てよかった。違う雰囲気の文子さんも今度みようと心に決めたのであった。
またまた蛇足ですが、最後の「終」の字のあと、赤いヘルメットを被った野呂圭介がカンバン持って「いや〜、ごめんごめん」と階段から降りてくるってのを想像してしまった。川口浩が「なぁんだ、びびっちゃいましたよ〜」わはははは。そして若尾さんがむくっと起きて「はい、大成功!ジャンジャン!」
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