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[コメント] キングコングの逆襲(1967/日)

女性の演出が好き。黒澤明のスクエアな感じとも宮崎駿のコッテリな感じとも違う、そこはかとなくアクティブで、そこはかとなく色気を漂わせる、本多猪四郎の妙技。
kiona

**ネタバレ注意**
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 エンターテイメントの中で無理なく女性を活躍させる本多監督だが、この一本は特に良い。二人の女性が大活躍だが、外人の女優をこんなに無理なく撮れる監督は今の日本映画にも稀有では? 宝田明とのロマンスまできっちり見せてくれる。

 浜美枝の役どころも、そこはかとなく奥行きがある。無謀な任務のために命を投げ出すのだが、兵器を欲し、マッドサイエンティストと手を組むことまでしても、決して無益な殺生を好むわけではない。工作員の悲哀だ。最後の最後まで自分が何者かを明かさずに死んでいくのだが、“あくまでプロ”な役どころに説得力がある。

 てんこもりで破綻寸前だが、ストーリーもスケールがあって良い。特にドクター・フーとエレメントX。『フィフス・エレメント』よりよほど面白い。クライマックスは東京タワーで、まさにタワーリング・インフェルノ。ドキドキする。演出は撮影機械の性能ではないのだ。

 最後にキングコングの扱い。本家のお約束と性質は踏襲しつつ、向こうのキングコングの本質である“悲劇”には手を出さない。むしろお借りする側の礼節と見えた。

(評価:★5)

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