[コメント] GO(2001/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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アップテンポでスタイリッシュな映像、練り込まれた話、眼力で迫る窪塚の演技。 思いついた言葉を羅列しただけで、この作品が見応えある映画であると納得でき る。そして実際、その通りであった。
『GO』は青春ドラマである。窪塚演じる「クルパー」こと杉原が劇中に語るよう に、作品は彼の「恋愛に関する物語」でしかない。青春時代は世間が思い描くよう に必ずしもカッコイイものではなく、ほとんどすべての人間が青い痛みというか、 ケツが青いゆえの傷を背負って通過してくる時期である。この作品に無理やりにで もテーマ性を語らせようとするなら、それは「在日の…」なんて「ダッセェ話」に理屈捏ねるものではなく、そんなものに生まれながら足かせつけられた一人の少年 の宿命であろう。
たとえば家庭が貧しいとか、親が逃げたとか。そんな先天的な十字架でさえも、自 らのアイデンティティにコンプレックスを持たざるを得ない環境に置かれるよりは マシである。多くの人間が自分で傷を作っていく青春がフツーな世の中で、「自分 の肌が緑色であったならいいのに」なんて真剣に考えてしまう悲しさ。
「これは僕の、恋愛に関する物語だ」
何度も復唱しなければ物語の視点がズレていってしまうように、当たり前の日常も 行為さえも差別化してしまう偏見。最近、障害者と風俗産業に関する本が話題にな ったが、人間を一括りにして見てしまうという悪い癖が、身近な差別を助長してい るのかも知れない。「国なんて考えたこともない」人間にとって、「在日…」など の名称は迷惑なレッテルでしかないのだ。
「ぶち破れ、そんなもん」
だって窪塚はあんなにカッコイイし、あのコはあんなに可愛い。それで、十分じゃ ん^^?
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