[コメント] ムーラン・ルージュ(2001/豪=米)
バズ・ラーマンの「椿姫」。細部の詰めが甘く、いまいち物足りない。
テンションの高さで圧倒しようという戦略は良いと思う。豪華な美術、極彩色の映像、エッフェル塔に銃が当たるなどファンタジックな演出、そして役者陣(特に主演2人)がノリノリで演じている。これらの要素が合わさってそれはもう凄いことに・・・なっていない。残念ながら。
理由はいくつかあるが、まず何よりもカッティングがめまぐるしすぎ。もっと役者全体の動きを見せてほしいのに、ガンガンカットを変えてくる。これが映画全体のグルーヴ感、臨場感を損なっているため、いまいちノレない。感情移入もできない。
また、構成に関しても失敗していると思う。前半は弾けまくってたのに、後半はなぜか真面目な恋愛話に落ち着いていく(困ったことにタンゴダンス、クライマックスなど「歌」「踊り」の場面は後半の方が充実している)。どちらか一方の雰囲気に合わせて作ればより完成度が上がったのではないか。
総合的にみて努力は認めるものの、表層にこだわるあまり本質的なものを忘れているような気がする。ジュゼッペ・ヴェルディの「椿姫」は映画と話がほぼ同じで、しかもCDで音楽だけしか聴かなかったのに本作より熱狂したし感動できたぞ。細部の詰めが甘いと言わざるを得ない。
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