[コメント] リリイ・シュシュのすべて(2001/日)
けっして言葉にできない気持ちを言葉にしようとした少年たち。それを映像化した岩井俊二。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
十四歳の頃って言葉にできない感情をたくさん心に抱えていた。 どんな言葉で表しても、それは全部ウソになってしまうような気がした。 でも言葉にすることで安心できた。たとえウソだとしても、心に平安をもたらしてくれるものならば、それは真実なのかもしれないと思っていた。
しかし、心の叫びは、本当の意味では、誰にも届かない。
ネットで交わされる言葉は映像とミックスされることによってその薄っぺらさを露呈する。 その言葉の薄っぺらさが、逆に彼らの悩みの深遠さを証明する。
相対性理論の発見によってエーテルは否定されてしまったけれども、少年少女たちの心には確かにエーテルは存在する。 理屈では存在するはずのないものでも、心で感じることはできる。 そして感じるということは、ある意味真実であるのかもしれない。
否定することは簡単だ。 しかしそこから生まれてくるのは、この映画で執拗に描かれた意味の無い幼稚な暴力でしかない。 人は、自分の理解できないもの、共感できないもの、手に入れることができないものを恐怖する。 いじめっこの自己満足ほどむなしいものはない。
ただ「受け入れる」というシンプルなことができれば、それだけで人間は幸せになれるのではないか。 そう思った。
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