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[コメント] リリイ・シュシュのすべて(2001/日)

見上げてみればそこにあるのはエーテル(雲の上の澄んだ天空)
ミュージカラー★梨音令嬢

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







純粋故に相容れなかった魂。辛くて痛くて苦しい。

Love Letter』で初めて岩井俊二の長編を見た私。好き嫌いがありそうだが、私はなかなか好きで、何というか、くすぐり方が上手い監督だなぁと思った。Love〜ではそれが比較的判り易い形で表われていたと思う。しかし、それを見た次の日に見たこの作品ではもっと抽象的に…というか感覚的に感性的に訴えかけてきていると思った。それはあまりに鮮烈で眩しくて辛くて痛くて、結果、前者より遥かに心に傷を残す作品となった。

私が14歳の時、こんな波乱に満ちた日常はなかったが、確かに私はああいう気持ちでいたと思う。それはもうおおよそ20歳を過ぎた私が思い出す事もない瑞々しさと痛みに溢れた感覚。しかし、それは私の心の隅の方に確かにまだあって、どっかで忘れずにしまわれていたんだと思う。岩井俊二ってのはそこに手を伸ばしてくれちゃう監督みたいなんだよな。自分では絶対そこには手が届かない代わりにこの作品が入り込んでしまった。

言いたい事はたくさんあるけど、ただ一つ確かなのは、その時の気持ちってのは、別に思い出す必要なんて全くないけど、思い出したら愛しくて堪らなくなるんだなぁって事。この映画を見た直後より、その次の日とかに何だか何となく涙を流したくなる感じ。

内容についてはあの4人って本当は同じ中にいるのに、全く相容れる事がなかったってのがとにかく辛かった。皆凄く純粋なのにね。感じる力が強すぎたんだ。14歳ってのは心理学(?)的にも難しいと言われる年らしいし、そんな年なんだろうけど。彼らの目に映る空はあんな風に痛い程真っ青なんだろう。

ま行が、ば行になる滑舌の悪い市原隼人も鼻にすぐ皺の寄る忍成修吾も現在は埋没してる風にしか見えないけど、岩井俊二は彼らを上手に使った。ナイスキャスティング&ナイスプレー。

映画との出会いも一期一会。この作品は出会えて良かったと思えた。贅沢言うなら、もう少し若い時に出会っても良かったかな。その時の私がどう思ったかをちょっと知りたい。 判りにくい文章になりましてすみません。ここまで読んで頂いた方、有難う御座います

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] グラント・リー・バッファロー[*] ことは[*]

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