[コメント] アメリ(2001/仏)
これはファンタジーだけに生きてきた少女が、恋を見つけることで、現実とコミットする話、ではない。
ファンタジーと現実が勝負したら、たとえ100戦しようとも100敗するのはファンタジーの方だってのは、ファンタジー志向を持つような過敏な人間なら、誰もが承知してることだし、それをジャン・ジュネが知らないはずはないし、アメリが知らないはずはない。したがってこの映画は、ファンタジーだけに生きてきた少女が、恋を見つけることで、現実とコミットする話、ではなく、ファンタジーに生きようとして、常に現実に敗れ続けて来た少女が、遂に、現実とファンタジーの一致する場所、「恋」、を見出す話でなければならない。
が、この映画は、その恋の前提になる「常に現実に敗れ続けて来た」という部分の描写がなまじおしゃれであるため、こっちが思ったほど盛り上がらない。
もちろん、様々な小ネタでくすぐられる楽しさはあるが、アメリの生活する現実そのものがファンタジーにしか見えない立場から言わせていただければ、 アメリのファンタジー志向も、保護されたアーケードの下で傘をさしてる程度の切実さしか感じられず、アメリの恋がどうなろうが、あんまりハラハラドキドキしない。
(アメリが山田花子をちょっと美人にした程度で、カフェーでなくコンビニでバイトしてる、って映画なら、今よりもずっと痛くて手に汗握るものになってたと思うが、そんな映画はこんなにヒットしないだろうし、自分も見ないだろう。)
ジャン・ピエール・ジュネに一言言いたいのは、もっとマジでたのむよ、てとこだろうか。
まあ無理にとは言わないが。
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