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[コメント] ターミネーター(1984/米)

本性のさらけ出し
山ちゃん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「エイリアン2」では、ヒトVSエイリアンという構図の中で、エイリアンがヒト以上に社会性のある生き物であるということが見いだされ、そこから相対的にヒトがエゴにまみれた生き物であることをさらけ出しているようであった。

同監督作品「ターミネーター」では、ヒトの敵はエイリアンではなくサイボーグ。ヒトとエイリアン、というように、ヒトと何かを対比させ相対的にヒトの本性をさらけ出していくことに監督の作家性があるのだとすれば、ここで描かれる本性というのは、ヒトもまたサイボーグと同様に指令されて行動する生き物である、ということに思える。つまり、「ターミネーター」には、遺伝子に指令された有機体VSコンピュータに指令された無機物という構図が見いだされるということだ。

サラとカイル、ターミネーターどちらも苦戦を強いられる。そしてターミネーターはコンピュータの指令を全うすべく皮膚など有機物を仮面のようにはがしていき無機物と言う本来の姿である本性をさらけ出す。一方、サラとカイルは危険にさらされているにもかかわらず生殖行為に出る。これは生物学的な見地、つまり、ヒトは遺伝子に従い種を残すという生き物であるという見地から見れば、ヒトの本性ともいうべきものをさらけ出しているようである。そうとらえると本性の姿をさらけ出していく両者の姿は重なって見えてくる。

どうも、この映画に全体を通じて肉感的なものを感じるのだが、それは冒頭の全裸シュワが強烈であった、というだけでなくこのような人から種としてのヒトを描くという生物学的な意味合いが込められているからだろう。そしてこの意味において、「全裸でタイムスリップ」という荒唐無稽に思えたシーンも映画的に意味があるものと納得できる。

(評価:★4)

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