[コメント] 助太刀屋助六(2002/日)
「諧謔と反骨」、ではなく、「リズム感と愛情」でしょ。やっぱり。
岡本喜八のトレードマークのような「反骨」も「諧謔」も、それは圧倒的な「体制」や「権威」が存在していた時代でこその価値観であり、いまとなっては相手がいない喧嘩のようなもので、正直、表現としてはキビシい。
岡本喜八がそれだけの人だったなら、とっくに忘れられていただろう。事実、60年代には輝いていた才能が、その後の時代の流れの中で輝きを失い、埋没していった例はいくらでも挙げられる。
この、結果として遺作となってしまった時代劇にも、もちろん「諧謔と反骨」は見て取ることが出来るけれど、実際に観ていて惹かれるのは、やはりそこではなく画面にあふれる生命感の魅力。
それを生み出しているのは、確実な映画的テクニックに裏付けられたリズム感と、人間に対する限りない愛情なんだろうな。
山田風太郎原作で予定されていた次回作でも、メインキャストに本作と同じ真田広之と仲代達矢を考えていたということからして、ここでの芝居がいかに監督の感覚に適ったものだったかが知れる。
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