[コメント] 突入せよ! 「あさま山荘」事件(2002/日)
幻想革命を目指した若者を描くのではなく、権力を行使する側の人間の集団の痛み、滑稽さを、コミカルにしかもシニカルに明るく描き切った秀作。
30年か。私は当時みんなが釘付けになっていたテレビのニュースも見ないで今日に至った。厭なんだ、この事件。だから新聞からしか事件を知らない。その後のあの痛ましいリンチ事件を考えると、この事件がまだ序の口だったことを物語る。
原田も、だから30年という歳月を経てしても、革命を目指したサイドからは描けなかったのだと思う。この映画は、主体は、あさま山荘事件に取り組む警察側の人間模様なのであって、この事件とは全く関係のない位置付けを設定することによって、娯楽映画にまで仕立てた映画作りに徹している。 ラストもこれで一仕事が終わったというサラリーマン感覚なのであろう。結局は警察官もサラリーマンも給金をもらうということでは一緒であり、仕事は戦場なのである。
だから、あさま山荘事件を謳い文句にしながら、全くあさま山荘事件に言及していない。この映画のすばらしいところは、まさにここにあると思う。
私は、この映画ははからずしも楽しめたが、恐らく「光の雨」の方はまだ見ないであろうと思う。 この事件、厭なのだ。もう30年もたっているのに。
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