たばこの煙で孤独感を満喫していても、やはり誰か側にいて欲しいのだろう。 妻とのコミュニケーションを積極的に取ろうとしなくても、裏切りには平静でいられないエド。怒っているのか憎んでいるのか 、それすらはっきりしないが妻の不倫相手に脅迫状を送りつけるという大胆な行動に出る。

大胆なのはそればかりでない。才能を信じた少女を強引に売り込みに行ったり。「熱情家ね」と言った少女は、一見冷静な彼を見抜いていたと思う。

行動で人を判断するのも一つの手だ。けれども何を考えているのか本人に語ってもらうのが一番手っ取り早いし、誤解も少ない。

私たちは彼の心の声を聞く。聞かせてくれたから、無口な彼の世界を少しだけでも理解できた。 彼が最期に見つけた妻への言葉はなんだったのだろう。不運な話ではあったけれど、彼が話しかけようとしたことで、暗すぎる話から救われた気がする。