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[コメント] 愛の世紀(2001/スイス=仏)

愛する基準など存在しない。映像美と哲学的台詞のシャワーによる映像詩がただただ自分の感性を擽った。
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 そこまで数多く見たわけではないが(『勝手にしやがれ』や『気狂いピエロ』といった代表作しか見ていないし)、ゴダール作品はどちらかというとあまり得意ではない様に思った。だが、21世紀初の監督作品のこの映画は意外にも好きだ。

 映画自体は当然の如くゴダールらしいテイスト。哲学的な台詞をシャワーのように浴びせかけ、云わんとすることを理解するのは難しい。自分が見たとき、途中で観客の一人が「ダメだ、こんなの」と捨て台詞を吐いて劇場を後にしていたのも理解できなくもない。

 映画の意味をあまり理解してはいないかもしれないが、自分はこの映画に下手に意味を求めたり、理解しようとは努めなかった。フィーリングで映画を見て、映画を感じようとしながら見たのだ。内容は難しくとも、ゴダールらしい難解な台詞の連続を、フランス語の響きや感覚を重視すると、それを受け止めるのは快感だ。その中で戦争について語り、アメリカについて語り、ハリウッド映画について語り、とゴダールの思考がしっかり受け止められる部分もあり、それもまた面白い。

 そして、あの映像美。第一部のモノクロ映像に関しては、上映前にコーエン兄弟の『バーバー』の予告が流れて、その美しさに魅了されたのもあり、そこまで美しいとは残念ながら感じなかった。だが、第一部の終盤にあるシャワーを浴びる男女の絵の美しさは絶品だ。そして後半のカラー映像は本当に自分の感性に染み込んだ。色の使い方に抜群のセンスを感じる。プログラムにもその美しいシーンの数々は掲載されていてうれしい限りだが、スクリーンでそれを堪能できてよかった。第二部終盤の映像はずっと見続けたいほどの美しさだ。

 この映画のチラシも白地にフランス語で原題が表記されたいるシンプルなものなのだが、そのデザインも好きだ。この映画は全てにおいて"美"を感覚的に堪能する映像詩だと思った。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ナム太郎[*] ゑぎ[*] けにろん[*] 浅草12階の幽霊[*]

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