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[コメント] マトリックス リローデッド(2003/米)

製作サイドは2つの大きな間違いをした。一つは素手アクションをメインに置いた事。もう一つはツインズを・・・→ 2003年7月12日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







てめーら、アホか!?ツインズをこんなに早く死なせたら何の為に登場したのかわからねーし、チェイスシーンの緊迫感が薄れるだろうが!

ストーリーはどうでもいい。っていうか、よくわかん。俺の頭が鈍いだけだろうけど。要するに、「人類最後の地、ザイオン。人類の存亡を賭けて闘うレジスタンス達。「結果には原因がつき物」。予言者の言葉は真実か否か?増殖するスミス。奴らにキー・メーカーを引き渡すな!壮絶なカーチェイス。予言は嘘だった。ザイオンは滅びる!?本当に滅びた!一人生きてた・・・だがそいつってスミスが乗り移った奴じゃ・・・?→続く」だよね?

正直、ストーリーなんてハナから興味無かった。基本的に、俺が期待していたのはヴィジュアル的な物。恐らく多くの観客も同じであろう。

前作『マトリックス』の斬新なカメラワーク、弾丸軌道見せ、等々、その後のアクション映画に与えた影響は数知れない。あのクライマックスのモーフィアス救出アクションのカッコイイ事。M16ベトナムヴァージョン、スパス12、ベレッタM9等々。前作は素手のアクション×ガンアクション×ワイヤースタントと言う色々なテイスト(基本的には香港からのパクりだけど)をミックスし、斬新なアクションを見せてくれた(個人的にはただのパクりにしか見えなかったけど、これはこれでカッコよかったから許す)。

そして本作。前作の柱凸凹銃撃(←『攻殻機動隊』だよね・・・)や殻薬莢大量放出等の優れたヴィジュアルはそこには皆無で、あるのは情けない効果音と動きから繰り出される涙が出てきそうな安っぽい素手のアクションだった。飛びまわり、蹴り飛ばし、吹き飛ばし、ぐるぐる回って殴り飛ばす。何が面白いのか理解できない。コメディとしての「面白さ」ならば、まだ許容範囲だが、これはアクション映画だろ?コメディしてどうする。

大体前作も思ったけど素手のアクションシーンが情けない。効果音はどことなく安っぽくて迫力に欠け、俳優の動きも「生身」のそれではなく、「グラフィック」のそれにしか見えない。つまり、俳優が演じているのではなく、「CG」が演じている様にしか見えない。本当にこのレベルの素手アクションを監督が、そして観客が満足して見て居るとは到底思えない。何よりもこのグラフィックのアクションからパンチや蹴りの重みを感じる事が出来ず、画面で繰り広げられているアクションに迫力が出ないのだ。「闘っている」ではなく、「演じている」様にしか見えない。つまり生身の迫力が全く無い。そんなアクションを今作では延々と見せられたのだ。退屈極まりない。まぁ、やってる事が漫画チック(と言うかバカ丸出し)なので、迫力が無いのも当然かもしれないけど。

上述の、前作のガンアクションシーンはかなり好きだった。本当にカッコよかったし、実際前作の点数のほとんどはそのガンアクションシーンのヴィジュアルのお陰だ。そして、前作の素手アクションシーンは上述通り嫌いだ。今作はそれが延々とあり、ガンアクションシーンは圧倒的に少なくなっている。ネオが超人的に活躍してくれるのは結構なのだが、そこにはカタルシスもヒロイズムも無く、「ダサい素手アクション」を撮って仲間内で喜んでいる製作サイドの姿しか見えない。圧倒的に強くてもヒロイズムやカタルシスを生み出すヒーローを俺は知っている。リー・リンチェイことジェット・リーだ。いっそ彼を主役にした方が遥かに面白くなったに違いない。(と、言っても、彼はこの映画の出演を断ったんだっけ?)

だからこの映画にはカーチェイスシーン以外見所は無い。他は寝ていても問題なし。カーチェイスシーンは圧倒的。ツインズとレジスタンスとエージェントの三つ巴戦。飛んだり逆送したり爆発したり。このシーンはかなり日数をかけただけあって出来栄えは抜群に素晴らしい。それに意味の分からないダサい素手アクションもトラックの積荷の上でやるとカメラの妙技と上手くマッチしてまだ見れた代物にはなってたしね。

が、唯一問題なのがツインズ。こいつら何の為に登場したんだ?派手に登場して、エージェントより強そうに見せかけておいた挙句、さっさと爆死しやがる。いや、別にツインズが登場する事自体は良いのだ。この二人が登場した事により、カーチェイスに緊迫感が増し、終われる側の緊迫感が伝わってくる。なんたってエージェントより強いのだから。だから製作サイドの最大の失態はこのツインズをさっさと爆死させた事にある。こいつらがさっさと死んだお陰でチェイスシーンの緊迫感が一気に下がってしまったのが現実。もう少し考えろよ、脚本。

それからもう一つの失態が上述の素手のアクション。次回作の『レボリューションズ』にもあるみたいだけど、もうこんなダサくて痛くなさそうなアクションしないで欲しい。やるならガンアクションをしろ。ガンアクションの撮り方だけは抜群に上手いのだから。

はっきり言おう。確かにヴィジュアルセンスは飛びぬけてるし、クンフーアクションシーンでは、近年のハリウッドに見られる無駄な細切れカットをしないのでアクションを楽しみ易い。そういう点は評価する。だが、どれだけ撮影技術が良くてもそのアクションの効果音や重さが皆無では、必死にトレーニングして工夫して頑張った所で、魅力が出るはずも無い。確かにガンアクションシーンは相変わらず上手かった。冒頭からイングラム乱射を落下しながらのスローモーションで捉えたり、車一台穴だらけにしたりと、なかなかの満足いく出来栄えだった、がしかし、前作のガンアクションシーンには遠く及んでいない。

結局、全体的に見て全く面白くなかった。特に素手アクション。前作はそのシーンがさほど多くなかったので許せたが、今作はそれをメインに置いてしまっている。良い物を捨ててまで安くっぽくて下手くそな物をメインに置くなんて愚劣極まりない。結果、重厚なアクションはそこになく、全体的に、「面白い映画」が見たければ『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』の方が圧倒的に良い、と言う結果になってしまった。っていうか、これってもしかして・・・

夏の超超大作がコスプレ映画に負けた

って事だよね?

ただ、カーチェイスシーンとモニカ・ベルッチのおっぱいに免じて★一個オマケ。

ちなみに、このレビューに関して「わかってない」とか「この映画のアクションはアニメ的アクションであって、その様なアクションを求めるのはアホ」と思われるかもしれません。確かにその通りでしょう。だけど、自分は少なからず上に書いたようなアクションが残っている事を期待していました。予告で嫌な予感はしました。ですが、ある程度望みを捨てずに見に行きました。

別に感情の爆発的なアクション(『男達の挽歌』とか見たいな感情が裏にあるアクション)なんてこの映画に期待はしていませんでしたが、ある程度の肉体の重さのある打撃は期待していました。

それを見事に裏切られたのです。さらに、あろう事か、ガンアクションがメチャクチャ少なくなっているのです。しかもストーリーも、何が面白いのか理解出来ないし。いや、マジ。その前にストーリーを理解しきってないのかもしれないけど、そんなに難解にして観客置いて行ったら、娯楽映画として失格ではないだろうか?

そんなの期待するお前がバカって?

ま、まぁ・・・主観意見って事ですので・・・。

(評価:★2)

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