[コメント] ギャング・オブ・ニューヨーク(2002/米=独=伊=英=オランダ)
映画を見終った人むけのレビューです。
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父を殺された男の復讐劇。
歴史的事件の中に存在した語られることのなかった物語という感じや二人の男と一人の女を巡る愛憎劇がどこか『タイタニック』とだぶっている。
ただ、『タイタニック』は身分の違う男女の恋愛ドラマをきちんと中心に据えて描いていたのに、この作品では復讐劇という大事な部分を最後に軍の砲撃で台無しにし、ほとんど盛り上がることなく終わらせている。意外性という点では面白いかも知れないが、ここまで長い時間、アムステルダムとビルのやりとりを描いておきながら、最後の呆気なさというのはかなり裏切り行為ではないだろうか。
また、ビルをただの悪人ではなく、殺したアムステルダムの父のことを称賛していたり、正攻法を好むようなわりと人間味のある部分を描いているのに、最後の対決では煙に紛れて、アムステルダムに後ろから襲いかかるなど、結構、卑怯な真似をしていたのは、これまで描いてきたビルの人間像を全てぶちこわしてしまった気がする。
また、アムステルダムにしても一度は深い信頼関係にあった時もあったのだから、敵対してからももう少し相手に対し良心の葛藤があってもよさそうなのに殺す相手と決めた途端、全く気持ちに揺らぎがなくなってしまったのは何とも極端。
総評的にはビルの描写に長々と時間を割いて、人間味のある性格に描いておきながら、普通に盛り上がりのない復讐劇で終わらせてしまった時点でこの映画は役者の好演にもかかわらず、ただの長いだけの映画と化してしまった気がする。
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