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[コメント] 福耳(2003/日)

宝島を亡くした世代とまだ宝島があった世代の交流
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







クドカン扮する主人公のフリーターの劇中の台詞。 「いろんな情報が入ってくる。やる前から結果が分かってしまう気がする」 相変わらず短期記憶が皆無なのでまるっきり不正確な引用なのだが、まあ、だいたいそんなところだ。

「我々の世代には宝島が無い。」私は以前からそう考えている。科学が進化し、情報が氾濫する世の中で、まるで美しく芝を刈る如く大木の育たない教育を受けて育った我々の前に、もう新たな鉱脈はないのではないか。徳川埋蔵金とかいう次元の話ではない。むしろ希望と言い換えた方がいいのかもしれない。我々の眼前に広がるのは先代の残した既定の路線。それを選択すること、そのための競争を強いられた世代。

その競争に負けた代表が主人公のクドカン。 それに対するのは、後世に既定の路線を残そうと死に物狂いで“宝島”を求めた世代の代表タナカクニエ。 その“異文化交流”のギャップを一人自分の中で埋めてしまったのが宝田明だと思うのは、俺の邪推か。邪推だ。

非常に余計なエピローグのおかげで単なる「老人と若者の交流」「老人賛歌」に見えてしまいがちだが、監督の本来の意図は、むしろ、やる気のない不景気で自己中心的な現在の若者文化への一喝だったのではなかろうか。俺の邪推か。邪推だ。

クドカンの演技(あと宝田明ね)もさることながら、『ゴースト』よかナンボもマシな話。 というのは観たから言える話で、企画そのものは「出オチ」に近いワンアイディアしかアピールする点が無いから映画館に足を運ぶ気にならない。

つまり、観る前から「結果が分かってしまう」映画にしか思えない。もったいない。

(評価:★3)

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