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[コメント] ラスト サムライ(2003/米=ニュージーランド=日)

でも、漢にはなれなかったトム・クルーズ。褌つけろ、ふんどし! 2003年11月27日試写会鑑賞(★3.5)
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







いや、コメントは冗談なんですけどね。でも、気になる。結局トム・クルーズ扮するオールグレン大尉は褌を締めたのだろうか?俺は歴史に詳しくないので良く分らないので、何とも言えないが、当時のアメリカ人はブリーフかトランクスだったに違いない。もしかすると履いていなかったのかもしれない。いずれにせよ、今までとは全く違う形のモノを股間に巻くのはかなりの恐怖と不安があったに違いない。

オールグレン大尉は戦闘中に落馬し、そしてボロボロになりながら捕虜として村に居座った。その間、服はおろか、下着の予備があるはずもない。と、言う事はやはり彼はずっとノーパンだったのだろうか?それともやはり、褌を・・・。で、その褌を勧められるシーンを見てみたかった、と思うは俺だけでしょうか?

"why don't you put Fundoshi ?" "Fundoshi ? what is that?" "Fundoshi means.....mmmm. OK. I show you" とか言ってトム・クルーズを脱がして(以下略)

正直、ここまでの作品が日本だけで作れるとは思わない。圧倒的にダイナミック且つ美しい映像と音楽が、日本のサムライ魂と融合し、男たちの「誇り」の描写と被さり、圧倒的なスケールと迫力を生み出していたのは確か。しかし、半面でどうもハンス・ジマーの音楽が時々耳障りに思えるときがあった。少しうるさすぎる気がした。確かに良いスコアなのだし、実際戦闘シーン等々ではメチャクチャ興奮した。だが、『パールハーバー』を焼き直した様なスコアが流れてくると、サントラを聴きまくった自分としては「おいおい、変化つけてくれよ・・」と少しうんざりしてしまったのも事実。しかし、なんだかんだ言って、かなりの出来栄えなのは事実。

そして映像。この迫力。森でのサムライ達の登場シーンの美しさ、戦闘シーンの激しさ、静のシーンの落ち着き、等々素晴らしい物だった。そこにジマーの音楽が被さるのだ、興奮しない訳が無い。

日本の描写も、訳の分らない描写が少なく、疑問を感じずに見れた。あの時代に、あんな甲冑を着て、鉄砲を使わずに刀一本で闘う侍達にも、予告編の段階では「おいおい」とは思っていたが、やはりこれもまた違和感をあまり感じない。トム・クルーズが甲冑を着て闘っていても全く違和感を感じないのは本当に凄いと思う。

リアリズムとファンタジー(?)が上手く融合している素晴らしいエンターテイメントだと思う。武士達の「死ぬ」と分っていながら絶望的な戦いを挑んでいく様、そこで芽生える友情と尊敬。「誇り」の為に散る事のカッコ良さ。グレン大尉の感じていた「本物の英雄(=サムライ)が何処に居る?」という疑問。彼にとって、サムライとは敵(=ネイティブアメリカン)であり、日本ではまさしく「死」を分っていながら闘う武士の事を指す。

このカッコ良さは目で見るカッコよさではないから、勿論薄っぺらいはずがない。

だけど、何かこの作品、どこか薄っぺらさを感じる。音楽、映像、役者、そして「サムライ魂」という奴を変に解釈せずに、こちら側にきちんと配慮した「アメリカ映画」に仕上げている辺りはかなり好感が持てるのだが、何か大きな風穴が開いているように思える。

ダイナミックな映像と戦う男達。「リアル」に再現された町並み。そこに違和感は感じないのに、物足りなさを感じる。作品のレベルとしては悪くは無い。決して手放しで誉められた作品ではない。だが、そんなに悪いレベルでは無い。

なんか・・・こう・・・くどいんだよな。特にラストの天皇の台詞。いい加減にして欲しい。十分メッセージは伝わっているのに天皇に語らせる必要性を感じない。「国家を大きくする事も良いが、自らのアイデンティティを失ってしまえばそれは「日本」ではなくなってしまう」みたいな事だろ?

けどね、それをあそこまでくどくど説明させる理由が分らない。そりゃ俺は日本人でこれはアメリカ映画だからかもしれないけど、いくらアメリカ人でも十分理解できると思う。サムライ達が刀を持って突っ込んで行っても、機関銃でバタバタと倒れていく。その姿を見て「こいつらは一体何の為に戦っているのだろうか?」と思ってしまう。勝ち目は無い。だけど、その死に様で彼らは語った。最後まで「武士」として死ぬ。だから切腹をする。

だから、日本帝国軍兵士は脱帽した。

十分じゃないか。ラストは蛇足。けど、それを除いて考えてもどうもイマイチ興奮しきれなかった。全てのレベルが高いのだが、所々に何か目障りな物がちらちらを見える。ジマーの音楽も戦闘シーンは良いのだが、他のシーンで多少うるさく感じる箇所もあったし、映像も美しく且つダイナミックで素晴らしいのだが、もっと生々しさがあった方が良かった様な気もする。トム・クルーズも日本人キャストも素晴らしかった。(ちなみに撮影は『シン・レッド・ライン』のジョン・トール。納得。)

当初の「どーせトム・クルーズの俺様映画だろ」と思っていたのだが、良い意味で期待が裏切られて嬉しかった。

彼の本作に対する意気込みと、サムライに対するリスペクトは、作品中ではなく、エンドロールに一番溢れていた。彼の名前より先にKEN WATANABEがクレジットされるのだ。あのクレジットには感動した。トム・クルーズの本気の意気込みを感じた。

だから褌してくれ。

★3だけど、★4にしてもいいとは思う。面白いけど、くどさと薄っぺらさとかをどこかで感じていた。「リアル」なんだけど「リアル」にしか見えない感じがどうも受け付けなかった。だけど、十分★4に値する出来栄えだと思う。

(評価:★3)

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