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[コメント] ソナチネ(1993/日)

北野武監督のリアルな暴力の裏側にあるもの。(★うわあ!追記はいつのまにか、北野武への恋文となる→)
ALPACA

過剰に演出された暴力より、現実の暴力はもっと、シンプルだからこそ、恐怖がある。そこのリアルさに意識してこだわり続けていたのが、北野演出のひとつであったと思う。そして、この映画でもそのリアルさの描写には見事な映画的成功をしている。過剰な物語としての憎しみから暴力へ変換していく様を描いて観客を納得させることより、北野監督は極力、不条理とも言える無意味な暴力を描くことで本質へ迫る。それは、本来の暴力が持つ恐怖でもあり、恐怖の本質でもある。そして、その底に垣間見えてしまうものこそ人がいる場所でもあるのだろう。 また、そこへ辿りつこうとすることこそ、それらを個人で抱えてしまっている者でしかできないことではないだろうか。

そして

こんな風に人を見てしまうのは、非常に失礼ではあるのだけど。僕はときどき、人を見ていて、この人はいつか自分で自分をも殺めてしまうかも知れない。どうでもいいことで、勝手な思い込みでしかないのだけど、TVや映画館で見る彼もまさしくそういう人に見えた。それが、あっという間に世界的な映画監督と評価され、「HANA−BI」では、いくつもの映画賞を取って、顔をくしゃくしゃにさせて泣く彼を見ると、どうしようもなく嬉しくなる。

あざとい。上手くなりすぎ。観客に媚びている。などなど、何と言われようが。任せてください。わたしの半径50cmでは、そんなことを言わせません。だから、お願いだから、一本でも多く映画を撮り続けてください。

(評価:★5)

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