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[コメント] お嬢さん乾杯(1949/日)

息も絶えそうなほど原節子が美しいので、+5点。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 戦前の建前社会が崩れて、一人一人の「ひと」そのものを見るようになったというような、時代の空気を背景に感じる。そういう部分に訴えようという意図とか。少なくとも、立場と環境を異にする男と女が一緒になって家庭を作るという結婚なるものが、社会的にずいぶん面白い、と言っちゃ語弊があるかもだが、興味深い、取り上げるに足るテーマになった。(例えば)小津が繰り返し繰り返し「結婚」をテーマに映画を撮る、その意図がよくわからんなァとずっと思ってたけど、単純に面白いテーマだったから、なんだろう。描くべき素材、見出せる要素がたくさんあるというか。社会の欲望とか状況を反映させやすいものだったんだろう(小津はこだわり過ぎだが)。

 この作品に関して言うと、佐野周二が「僕は金儲けが得意なんだ」とか言うのだけど、ちっとも得意そうに見えない。2、3年前に村上ファンドの社長が「お金儲けは悪いことですか?」と発言して反発を受けてたが、この時代だったらもっと凄い反響じゃないかと思うわけだが、案外そうでもないのか。ただ作れば売れた時代の経営者、だったとか。他人を出し抜いたり、裏をかいたり、法の目をかいくぐったりというようなこすっからさを微塵も感じさせない。そんなだったら陰気な映画になってしまうが。コメディで良かった。

 佐田啓二の顔つきにまだ男前ぶりが定着していなくて、どこにでもいそうなチンピラ風情なのが新鮮。

 原節子、口では「惚れております」と言ってたけど、絶対そんなに見えない。

80/100(08/04/21記)

(評価:★4)

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