[コメント] サイン(2002/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
多くの伏線を配して、終盤にその伏線が本流と一つにするのがM・ナイト・シャマランの得意技である。今回は、伏線を配するのが「神」であるため、その意図はその時になるまで人間には分かるはずもないのである、と逆転の発想で開き直ってますね、これは。そんな〜、と思うような伏線であっても、それは全知全能の「神」からすれば必然なんです、と言われてしまえば、文句の言いようもありません。そんなわけで、やりたい放題の「神」が何年も前からこのためだけに徹底的に伏線を張りまくったわけです。ご苦労なことです。
ただ、この映画のエンターテイメントの肝である「全ての物には何らかの意図がある」という前提は、同時に強いメッセージでもある。これらの“神の意図”という「偶然」または「奇跡」の積み重ねで今の自分が存在するということです。そして、今ここに存在している自分という存在も、これから脈々と続いていく人類の営みの中でなんらかのサインであるということ。自分は孤独な一人ではなく、自分の生にも意味があり、為すべきことがあるはず。
このメッセージは、9/11に絶対的な無常感を味わったアメリカ人と、個人的に人生の意味を問い直していた不肖な某にとっては、強く心に響きました。自分が一人ではないんだよと励まされた気分がして、ちょっと幸せな気分で劇場を後にできたそうです。
この映画は「全ての物には何らかの意図がある」という前提がそのまま、エンターテイメント性とメッセージ性の両方の肝になっているという、稀な傑作なのです。
それでも満点から-1点した理由があります。
残念なのは、宇宙人が「いかにも宇宙人」として登場してしまうこと。宇宙人が姿を見せる場面を観ると、「ああ、この映画はなんでもありなのね」と思ってしまい、その作品から現実感がなくなってしまうように感じるのです。(あくまでも個人的な捉え方ですが・・・)
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