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[コメント] 96時間(2008/仏)

1時間33分。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







昔は、映画は1時間30分くらいの長さが標準で、今はそれが2時間くらいかな。ポップスも昔は4分以下が多く、だんだん5分近くまで膨らんいくようになって、最近はまた短くなりつつある。こういうのは世間の人が、その時代時代において、娯楽に「どこまでを求める」かによって変わっていくのだろう。この「尺」というフォーマットって、当たり前といえば当たり前だけど、かなり表現の仕方に影響を及ぼすのだなぁと再認識した。

映画が2時間になって描こうとしたことの多くは、1時間30分では描けなかった「背景」や「間」や「深み」や「複眼的視点」など、ざっくり言って「現実感」だったように思う。リアルを追求しようとするとどんどん時間が余計にかかってしまう(余談だけど、007シリーズが初期の作品を除いてだいたい2時間30分くらいなのは、リアル追求要素よりも、「1回でおなかいっぱいになって欲しい」「ゴージャスな時間を過ごして欲しい」そういうためのサービスのてんこ盛りという方針なのでちょっと違う)。

翻ってそれを1時間30分にしてみると、リアルを追求しなくて良い、ということになる。本作の制作陣はそこをよくわかった上で、シチュエーションの面白さのみにこだわるための、余計な物を描かないための1時間30分というフォーマットの選択だ、ということがよくわかる。してみれば、他の映画制作者もあえての1時間30分というフォーマットの選択で、昔の映画とはまた違う新しい表現も生まれてくるような気がする。

あともう一つ。「96時間」てことであれば、どうせなら上映時間をあと3分増やして「96分」にすればよかったのに。1時間を1分で描く。「この強さ10倍速!(60倍だけど)」なんてコピーがつけられそう。私がつけるなら「誘拐されるならこんなパパ」かな。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)DSCH[*] disjunctive[*] けにろん[*]

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