[コメント] 欲望の翼(1990/香港)
「男」と「女」のラブゲーム
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
脚のない鳥がいるそうだ
脚のない鳥がいるそうだ
跳び続けて疲れたら
風の中で眠り
一生に一度だけ地上に降りる
「欲望の翼」は、この鳥の視点で語られている。
その脚のない鳥は、パチンコ球のようにぶつかり合う男と女を、時には鼻先ほどの間近から、あるいは飛び続ける上空から、ひっそりと、しかしどこかやさしく見つめている。
ひとりの男はその鳥の視線のことを知っていたようだ。そして、もしかすると自分がその鳥なのかもしれないと感じていた。だからこそ、男はひとつの恋が終わってどれだけ疲労しようとも、また次の恋の回路へと開かれていく。そしてまた、次の恋へ。そしてまた……。
けれど男はふと思う。その脚のない鳥はもう死んでいたのではないか。自分が感じていた視線は、地上に降りて死んでしまった鳥のものではなかったのか。ということは、もう俺は既に死んでいたのではないのか。鳥はもう疲れ果ててしまっていた。
しかし、恋の回路は閉じられてしまったわけではなかった。ウォン・カーウァイがラストに映し出した、狭っ苦しい部屋でデートの準備をしている(?)ト二ー・レオンは、また新たな脚のない鳥だったのだ。
回路はどこにでも開かれている。もちろん、あなたの部屋にも。
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