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[コメント] ツイン・ピークス(1990/米)

退屈だからこそ面白い田舎の諸事情
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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当然シリーズものの話も出てきます。

未見で「じゃあ見てみるか」ってかんじで何気に見た人。多分「なんじゃこら」だと思う 。わかる、俺もそうだった。だからこの続き(シリーズ)も見てくれ。そしたら多分「なんじゃこぅらああぁ」となるはずだ。

とにかくそのとんでも設定のツインピークスの住人の性格と相関図の氷山の一角がこの第一話目にかなり隠されている。人は見かけと第一印象に騙されてはいけないってのはこの作品の為にあるようなもんだ。このシリーズ第一話以降もどんどん新キャラクターが増えていって大変なのだが(中には香港のマフィアの殺し屋まで出てくる)やはり第一話に出てきた人達(ローラも含めて)には強い思いがあるのだ。

この作品、案外いい所は「大自然」。アメリカの田舎と言うと中部とか南部の様なひろーいイメージがある。隣の家に行くのに30分かかるかんじの。ところがこのツインピークス、とっても狭い。家から家の間を車で移動していながらその時間や距離をカットしているせいで小さい街に皆寄り添って生活していて非常に日本っぽい。そして田舎=退屈という大前提を逆利用した展開。この最初のローラの殺人事件、これって全然映画的には大事件じゃないんですよ。それを可能にするのはこういう平和な(退屈)場所しかないのだ。

皆この田舎町を最初どーんと見せられてそこにいるかの様な体験をしてしまうので「えらい事が起きた」と感じるわけだ。こうなったらもうはまります。なにせ退屈だから。近所の人が一歩も表に出ないだけで「怪しい謎の事件」なんです。暴力亭主が何かしてるらしい、こりゃ大変だ。丸太おばさんも秘密もってるぞ!もう暇だからみんなの小さい秘密が知りたくて知りたくて。

うちの向かいのおばさんもね、オレが燃えるごみの日に違うもの出すんじゃないかっていつも監視してるんですがそれと一緒。日本とアメリカの今後、世界規模のボーダーレス価格競争、新種ウィルスの脅威・・なんてのを年中考えてないでたまにはツインピークス住人のように近所の秘密をニヤニヤしながら覗き見しませんか、もうみんな秘密持ってるんですから楽しくてしょうがないっすよ。

あ、オレのお気に入りは最初オードリー、途中丸太おばさんと白い馬、後半キスまでしたリンチ監督

(評価:★5)

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