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[コメント] チョコレート(2001/米)

ストレートな味が売りのアメリカ製チョコに沢山いろんな物を混ぜた結果日本製チョコになっちまった。意図したかどうかはともかく。
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画かなり緻密なさじ加減がなされている。明らかに観客の意見が割れるように作られているのだ。意見が割れて論争が起こる為には普通色々な要素が含まれている。例えば

「たばこの税金を上げるか否か」

この場合「吸っている人、吸わない人」「自分の勝手だと思う人、他人に迷惑がかかると思ってる人」「税収をあてにしている人」「麻薬だと思ってる人、思わない人」「値段が高いと思う人、安すぎると思う人」等々の対立が当然起こる。そしてもし---たばこ嫌いな人が映画監督をすると当然「たばこを吸わない人が自分の勝手だと思う人と同じ職場になって癌になる」みたいな死ぬほど分かり易い映画を撮るわけだ(そんな安直な映画は無いが)。

ここでいう緻密なさじ加減とは

主人公が裕福で人種差別主義者

ハル・ベリーが貧乏で美人

って所だ。観る側が抱くハル・ベリーへの同情心(その為の美人)、主人公の人種差別主義者でありながらハル・ベリーを愛してしまういい加減さ、(あまり言われないが)恋人のためにあっさり実の父親を老人ホームに送る見切りの良さ、でも最後はなんとハッピーエンド、、等々。

これら意図的な問題作にしたかったが為に作った複雑な状況の結果どうなったか。実はこの「なんともやりきれない、割り切れない、ぼんやりとしたもわもわイライラ感」がこの作品のメインになり製作側が意図した主題(たばこは害だ!っていうストレートな主題)が薄まりすぎたのが好結果となった気がしてならない。

この結果を如実に反映しているのが邦題「チョコレート」とキャッチコピー「たかが愛の、代用品」なのではないだろうか?鑑賞する側のプロでさえ勘違いしてしまう曖昧さ。 多分真剣に意図を読みとれば邦題は『独房の看守』、キャッチコピーは『幸せな最後の一日差し上げます』。

売れなさそう

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)サイモン64[*] Orpheus IN4MATION[*] sawa:38[*] けにろん[*] tkcrows[*]

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