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[コメント] マイノリティ・リポート(2002/米)

未来を予想するのは楽しい。それは新たなシステムが誕生した場合それが問題を生み、解決され、そしてその解決されたシステムから又問題が生まれるからだ。怪しい物には蓋をする、って方法はいかんよ
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







つまりシステムとは生き物であり何処までもバージョンアップしながら問題もまた発生させるものだがそれを何処まで深く予想できるか改善するか、それが醍醐味なのだよ

例えば今から50年前の人達に現在を予測してもらうと「核戦争により大国は崩壊し生き残った人達により新たな世界連邦が構築され国対国の無益な争いは無くなる」とか大抵の人が言いそうでないかい?

そういった予測のどこが間違っているのかというと組織とは敵対する相手を倒すよりも長い目で見ると自分達の損得の方が大事になってくるのだ。もっと簡単に言うと昔ウィンドウズとマックがOS戦争で相手を倒そうと競争してたけどあとから自分達がバージョンアップしていく方がずっと大事だと悟ったって事と同じなわけだ。(ロシアという国だって滅んではいない、進化の過程での共産主義放棄なのだ)

そこから考えると50年後の犯罪をどうするのか、といったテーマを予測する場合はある新システムが導入された事を描くのではなく導入した場合どういった人達が推進し逆に反対するのか、その過程を描くべきだろうと思う。

「情報によって未然に防ごうとする情報部」と「犯人逮捕率を上げ犯罪そのものを減らそうとする検挙部」のような組織が予算を巡って対立しながらも、そこから上に述べたような理由で両部隊は自分の組織の改善を計っていく。片方が大きなバグでスキャンダルが起こったから取り潰しましたって考えは甘い。

どうも映画の製作者側にプリコグの人権を「現代的な視点」で語っている所が見受けられる。プリコグの人権を守る為に殺人が増え結果人権を剥奪される人(被害者)が増えたとしても未来の人は「プリコグの人権の為に」目をつむる事が出来るのか?当然イエスと答える人もいるだろうがノーと答える人もいるはずなのだ。

つまりこの映画の予測は将来起こりうる問題を提起はしたがそこに存在するはずの人々の考えを真剣には考えていない。この映画の最後のような処置がとられた場合以下のような展開になりかねない。

中国で自意識のないプリコグが生み出される。各地区にプリコグを配置した中国から犯罪が激減。欧米や日本から中国に移住する人達が殺到。人権問題でプリコグ反対派が強行に抗議するも移住する資産家が後を絶たず各国の税収が減少。犯罪防止の為の警察の人件費すら捻出出来ずまさに犯罪多発国家に。 多くの人権保護活動家の反対にもかかわらず欧米、日本では8時間交代制のプリコグ就労規制法案可決によりついにプリコグ復活。ただし殺人を犯しそうだった人の人権も守るべくハローライフ(笑)という人生更正所も増設される。最近ハローライフのデータが漏洩、3Dネット上に全て公開されてしまう。犯行は反プリコグ過激派、プリコグ法案が否決されたスウェーデンに潜伏していると推測される。その為非難の的となっているスウェーデンは欧州連邦からの脱退すら臭わせている。

ってなんかその後の方が面白そうだな、俺的には

(評価:★2)

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