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[コメント] 孤高のメス(2010/日)

それぞれが自分の出来る事を、出来る限り果たす、という事を示した。☆4.8点。
死ぬまでシネマ

医療は醜い。生き死にが絡むとひとは無我夢中になり、貪欲になる。生き死には人間の手ではどうにもならない事であると同時に、人間の事情が絡まった結果として決定される事も多いのが実際だ。医療は<天気>の次に万人に共通の話題であるが、<天気>のように純粋に自然任せではないから、そこに常に恨み・妬み・打算がこびりつく。

その中でそれぞれが自分の出来る事を、出来るだけやり遂げる、即ち「果たす」というのは、実際には結構難しい事だ。限られた時間の中ではやりたくても出来なかったり、何時の間にか出来なくなっている自分に気づく。

この映画では、それを今まで見失っていた看護婦=浪子を始めとした周囲が、ここ(さざなみ市民病院)で<再生>を果たそうとやってきた医師=当麻によって目覚めて行く。当麻も、浪子も、患者や周囲のひとびとも、お互いの事情はそれぞれであるが、それを結びつける一点が「手術」であった。

この映画は外科系医療の究極が手術である事を見事に描いている。手術室は外界の醜悪を排除してただ一点、医の<Art>を追究する。その中心人物として堤 真一は適正な配役だった。そして夏川結衣も。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)たろ[*] Osuone.B.Gloss[*] tkcrows[*] けにろん[*]

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