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[コメント] 春夏秋冬そして春(2003/独=韓国)

湖上の庵の造形や般若心経のエピソードなどは、宗教が持つ独善的傲慢さがなく地に足のついた慎ましい神秘性を漂わせ好感が持てるのだが、観音菩薩のくだりはあまりにもオリエンタル趣味。欧州資本とキム・ギドクの無邪気さがあいまって凶と出た感がある。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







魚と寝る女』、『悪い男』、そして本作とキム・ギドク作品を観てきて、ひとつ気づいたことがある。前二作で見せた常軌を逸したようなキム・ギドクの悪意は、子供が持つ無邪気なまでの残酷さと同質の意識せざる感情の発露なのではではないだろうか。

「冬の章」での嬉々とした肉体鍛錬シーンの得意げな描写や、図式的に「春の章」と連動した観音菩薩の山登と唐突で無遠慮な挿入歌。そこに、押さえ切れない感情を、そのままフィルムに定着させてしまうキムギドクの子供のような無邪気さを感じた。

その無邪気さが吉と出るか凶と出るかで、この監督の作品は先鋭にも凡庸にもなり得るのかも知れない。いずれにせよ、当分のあいだ目が離せない作家であることには違いない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)sawa:38[*] リア[*] movableinferno[*]

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