[コメント] マリッジ・ストーリー(2019/米)
うっかり弁護士なんかに相談するもんじゃない。合理が互いの“理”にかなわないことだってある。ふたりが望んでいたのは関係の清算ではなく心の整理だったはず。関係を分かつための冷徹な距離ではなく、均衡を保つための「あやふや」な距離って、ないのだろうか。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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と、成すすべなきチャーリー(アダム・ドライヴァー)の“呆然”に同情する男の私は思ってしまうのですが、ほんとうに男ってぐずぐずとダメな生きものね、という女性の声も同時に聞こえてくるのです。
夫の“いいところ”を列記してみた妻のニコール(スカーレット・ヨハンソン)は、それを夫の前で読み上げることを拒否します。自分がほんとうに夫に求めていたことが、そこには何ひとつ無い(書けなかった)ことに気づいてしまったからではないでしょうか。
一方、夫のチャーリーは妻が挙げた彼の“いいところ”を読み、感極まるでもなく、だだ虚空を見据えて表情をなくします。自分が自分のためにしか妻と接してこなかったことに気づかされたのでしょう。彼の“呆然”は、私にはそう見えました。
そんな私は、何とか「あやふや」なまま「今」をやり過ごしてしまいたいのですが。
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