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[コメント] 東京暮色(1957/日)

これも確かに小津作品であり、やはり身じろぎもせずに家族というものを見つめている1本だと思う。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ただやっぱり居たたまれない。人には誰にも言えない秘密を持ちうる事があるっていうのは分かる。たとえそれが家族であったとしても、むしろ家族だからこそ言えない事ってあると思う。でも全てを抱え込んだまま存在を消されてしまった明子があまりに不憫。しかもいつもの小津的静かな目線で最後まで描かれるため、黒澤のような怒りとか訴えかけてくる強さとかそういうものも希薄で、「これが家族ってものなんですよ」と静かに語りかけられても観てるこっちはたまったもんじゃない。明子の悲しみを鑑賞者が分かち合う事すら拒まれているようで、明子は本当救われない。

でも「親に知られる事なく終わる秘密」を持たない人間などいないわけで、やっぱり小津さんに「ホラね」と言われている気になって涙が出る。これも確実に人間のありのまま、どこにでもある家族を描いている、明らかなる小津作品なんですね。ただ、ちょっと川島雄三寄りな感じはしました。

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08.12.11 記

(評価:★4)

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