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[コメント] 悪人(2010/日)

見応えのある作品だった.☆4.5
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







緻密な描写。演技においても美術においても細部に至るまで入念に仕上げられている。カットバックの時の効果音の入り方など絶妙である。これは久々に☆5大満足か、と思ったが主人公2人の逃避行で昼食のときに妻夫木が殺人犯であることを告白するシーンとなる。ここにほんのわずかな違和感が生じた.その言い方はちょっと違うんじゃないか。不遜を承知でいえば、この流れ、このシーンでは自分の感じにぴたりとはまるい言い方があるはずだ。そう思う。深津絵里については文句はない。その違和感は小さな棘のようにうずき続け、終わりまで解消する事はなかった。柄本明、樹木希林には大満足で、そういうことなんだろうなあ、と深く納得する。「姉ちゃん、生きとったんか。よかったあ〜」と手放しで喜んだ後で,「皆にどんだけ迷惑かけているか・・・」とエゴを丸出しにする妹の演出なども人間描写として浅いのでないか、とここでも小さな違和感が膨らんで行く.

なぜ映画を見るか。なぜ映画を見てよいと思ったり、感動したりするか。私に取ってそれは自分が暮らしている毎日に感じる違和感の解消にある。解消できなくても、日頃漠然と感じている満たされない日常的な違和感が映画を見ることによってその意味が自分にあきらかになる。そういうヒントを与えられる。そんな経験をしたくて私は映画を見ているようだ。もっとも作品は自分の願いとは別の所にあるのは当然で、つまりは好みの問題なのだ。

そんなことも考えさせてくれた意欲作だった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ジェリー[*] けにろん[*] 3819695[*]

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