と言うと、「劇場で見るには値しない映画」に思われそうですが、さにあらずで、劇場にはよその人も大勢来ていて、上映の入れ替えの際に、前の回の人が雑談しながら劇場から出てくる声が漏れ聞こえたりするのが普通ですが、ちょっとした一言から、いざ自分が見たときに、ラストまでどどーんと見通せてしまうこともあるものですから。以前、ウディ・アレンの『セプテンバー』を見にいって、それでひどい目に遭ったことがあります（ただでさえ退屈な映画だったのに）。こういうのって、御本人には悪意がなさそうなだけに、余計始末におえません。

この映画のラストについては、箝口令を守らなかった方もいらっしゃるようですが、私は幸いビデオで見るまで、そういったネタばらしに触れずに済みました。それでも途中で何となく見えてしまったけれど……。

映画自体は上品で美しく、悪くないと思います。ゴーストの表現も、それこそ『ゴースト』みたいにもったいぶっていなくて、それがこの映画のトーンにぴったりだったと思いますし。