[コメント] ナショナル・トレジャー(2004/米)
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ケイジはハリウッド一のアメコミマニアとして知られるだけに、自分をヒーローとするコミック的作品に出ることを切望していたそうで、これは当人にとっても最もやりたかった役だったらしい。それに答えるかのように本国アメリカでは大ヒットしていた。
だが、特にここ数年アメリカで大ヒットした作品というのは、大概がスカッとする内容のものばかりで、深みとかは求めていけないものばかり。キャラクタに思い入れがある場合、それが見事にはまって大変痛快な気分になるが、逆にキャラに何の愛着もない場合、ウェルメイドの物語を延々見せ続けられることになって退屈する。
はっきり言ってしまうと、本作もその通り。ケイジに全く思い入れのない身にはつまらん。
マッチョなヒーロー、ヒロインが悪者をばったばったなぎ倒していくパターンじゃなくて、頭脳戦をメインに持ってきたあたりは良い目の付け所だと思うが、問題はその謎の解き方が強引且つご都合主義で、ほとんど一本調子。まるでお使いのようで、(強いて言えば『ダイ・ハード3』のパターン)。最初のパイプを見て、あれだけのヒントだけで独立宣言書に至ってしまう辺りでいやな予感はしていたのだが、ケイジ扮するベンの頭脳があまりに超人的で、行く先々でヒントと危ないところを助けてくれる人が出てくるあたりで、脚本のいい加減さとご都合主義の物語の酷さが見えてしまう。それが物語の軽快さになってるというのは確かにせよ、ちょっと私の好みじゃないなあ。
「ご都合主義」と言えば良いけど、実際設定も酷い。
よし。久々にあら探しをやってみよう。
最初に北極圏の描写。ありゃどう見ても北極には見えない。なんだ?あのベタ雪は。船の中では火薬が全く凍ってないわ、しかも手袋外して金属触ってるし(氷点下数十度の世界では金属に手を触れたら手がくっつくよ)。
巻き取ることが出来る独立宣言文。200年の時間が経過していて、しかもあれだけ取り回してボロボロにならない紙って何だよ。
レモンしか入ってないパパの冷蔵庫。この人、一体どんな生活を送ってるんだ?
日時計の謎で、何年何月の何時何分」というのがなければならないはずの謎かけが、いつでも良くなってる(たまたまその日が適合したと言うことにせよ、ご都合主義極まりなし)
200年後に何の問題もなく燃える火。これが油だったら、当然揮発してるはず。仮に石炭か何かだったら、あんな風に燃えたりしない。
宝の数々。結局あれって盗掘の集積場だったわけ?
ちなみに、フリーメーソンの設定だけど、一応テンプル騎士団との関わりもあるとかと言う話はあるにせよ、元々は石工職人のギルドから始まったと言うのが真相らしい(言うまでもないけどフリーメーソンというのは「自由な石工」から)。ちなみに今もちゃんと存在してるけど、別段秘密結社でもなんでもない…文句でないのかな?
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