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[コメント] 大決戦!超ウルトラ8兄弟(2008/日)

本当に夢のような企画でした。変身する前まで、であればですが。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ウルトラマンに二つあるシリーズ昭和シリーズと平成シリーズの合体版。オリジナルの二つのシリーズは関連がないので、本作はお祭り作品と言って良い。

 ただ、さすがに普通に物語をつなげるのは無理があるため、パラレルワールドと言う設定で、しかもメビウスがティガと知り合うことを契機として物語は作られた。ちょっとややこしくなるが、本作は正統的昭和シリーズ(メビウス)と、パラレルワールドの昭和シリーズ、パラレルワールドの平成シリーズの三つの物語をくっつけて誕生したことになる。それによって豪華なオールスターキャスト全員参加の物語が誕生したのである。

 このパラレルワールドと言う設定はかなり痛し痒し。良い部分と悪い部分くっきりと目立つことになってしまった。

 悪い部分というのは、物語の強引な結び付けによって、全部の過去を一旦リセットしてしまったこと。この作品はノスタルジーはあっても外伝的な要素が強く、過去からつながる設定の引き継ぎがなくなってしまった。その分、物語が表層的で薄いものになってしまった。過去からの膨大な物語、資産がほとんど生かされておらず、結果ウルトラマンたちは個性が弱く、大半が単純に登場しただけになってしまったのが痛い。物語の性質上仕方なかったこととは言え、特撮ファンの目で見ると、これは結構寂しい。敵も個性が弱く、合体後の姿に至ってはCGそのもの。特に戦いも終わりくらいになると描写は特撮と言うよりもアニメーションに近い。変身シーンまではかなり盛り上がったのに、いざ変身した後の戦いのシーンが今ひとつなのが寂しい。

 一方良い点は、パラレルワールドだけに、シリーズでは見られなかった「こうだったら良かったのに」という組み合わせが観られることだろう。この作品は特に女性の描写に力が入っていて、オリジナルキャストをわざわざ引っ張ってきて、本シリーズではありえなかった組み合わせを夫婦役としてキャスティングしている。ウルトラマンのハヤタにはフジアキコが、セブンの諸星ダンにはアンヌが、ジャック(新マン)の郷秀樹には坂田アキが(本編で実はアキは死んでいるので、絶対あり得ない組み合わせ。兄の健の遺影も泣かせる)、エースの北斗には南が。これら本シリーズの関係は劇中好き合っていることが繰り返し描かれているにもかかわらず、決して結ばれることなく、最後は別れてしまう運命にあった恋人たちだった(場合によっては死別)。彼らがこのパラレルワールドではそれぞれちゃんと結ばれ、夫婦となって歳を取っているいるというのは、ファンとしては、観たかったものを見せられた感じで頬が緩む。しかも単に夫婦になっているだけでなく、お互いの信頼関係をしっかり描けているのは大きい。怪我をした妻をつききりで看病してる姿もあれば、一番一緒にいてほしいはずの良人を信頼して何も言わず送り出す女性の姿もあり。それぞれのヒーローが、二人の信頼関係あって戦えるということをよく示している。さらに昭和シリーズヒロインたちが一同に介してのフラダンスのシーンなんかもあって、これだけでかなり点数を甘くしたくなる程だ。

 私に限って言えば、平成シリーズはほとんど観ておらず、こちらの方は全然わからないため、昭和シリーズと平成シリーズの合体と言われても本当の意味で楽しめたのは半分だけだが、それだけでも充分ノスタルジーには浸れた。

(評価:★3)

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