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[コメント] 鬼畜(1977/日)

「強い」からこんな非道いことができるんじゃない、「弱い」からできるんだ。6歳の子どもをあんな泣き方(手放しで声を上げて泣くのではなく、歯を食いしばって涙をポロポロ)しかできないようにしてしまった罪は大きい。
はしぼそがらす

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ラスト緒形拳に息子の前で大泣きする権利なんてない。ああやって泣いて許し乞いして自分の重荷全部子どもに背負わせて救われようなんてズルイ。この映画は、そういう「弱さ」の描き方が本当にリアルだ。

岩下志麻は、話の都合上、途中から完全に「小公女系子ども苦労話レギュラーキャラ:デフォルメいじめ役モード」に入ってしまったが、彼女の「自分だって被害者」な気持ちはわからなくもない(子どもに虐待を加えるのは勿論是認しないが)。

だってもしダンナに7年前から囲っている二号と子どもたちがいて、しかもちゃんと責任持って家計に迷惑かけずに二号を囲っておく甲斐性もなくて、おまけに自分がサポートしないと仕事も立ち行かなくなるような状態で、なおかつある意味妻の立場からは一番の元凶である筈の二号にまで愛想尽かしをされるようなとうへんぼくで、皆にいい顔して都合のいいことばっかり云うくせに自分では何一つ決められないようなろくでなしだったってことをいきなり目の前で見せつけられたら・・・

・・・もうマジでどうなるかわかりませんって。

特に、そんなダンナをまだ愛しちゃってる場合は。

とりあえず、二号の存在を知って逆上したときに、「この泥棒猫!」と二号に飛びかかっていくのではなく、「このろくでなし!」と亭主を平手で打ちまくる姿勢は100%正しい、とわたしは思った(あのシーンで、すぐ傍に座って一緒に観ていた夫が突然腰をずらしてわたしから距離を取ったのには笑ったが)。

(評価:★4)

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