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[コメント] 最前線物語(1980/米)

今のところ、これがマイ・ベスト戦争映画。「反戦映画」と安易に括ってしまうのをためらうほど、美しくも感動的な「生きること」への賛歌。
くたー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







死と隣りあわせの過酷な現状だから、立ち止まらずに生あるものに目を向けよう、ということなのか。子供のために無言で食料を残す軍曹、陽気なシチリアの人たち、花で飾られたヘルメット、出産、熟年の女が奏でるショパン、亡くなる前に笑顔をとり戻した収容所の子供、そして忘れてはいけないユーモア。戦場で必要とされるのは、死にゆくものへの鎮魂ではなく、生きているという認識。敵味方が滑稽な程安直に逆転する瞬間や、時折入れられる動物のショット、正気と狂気を隣りあわせで見せる演出も含めて、これほど感動させられた戦争映画もないかもしれない。

収容所ではさすがに死の影は重くのしかかってしまうが、軍曹の第一次大戦でのトラウマも含めて、回復する儀式をラストで残してくれた監督に、惜しみない拍手を贈りたい。

(評価:★5)

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