冒頭の海辺シーンと言い、教祖ドッド夫婦共同の自涜シーンと言い本当に幼児趣味が濃厚でありますなあ。それらはそれほど意味のある映像とも思えないが、かと言って余裕の裏返しとも思えず一言で言えばちょっと遊び過ぎ。後半、急に出現する熟女オールヌードのオンパレードは可笑しさを超えてある意味唖然とする。しかしまあいいではないか、とも思える。（男女がオールヌードになるというのは宗教的な意味合いを感じ、ある意味キモイ。）

確かにアンダーソンの映画は見る者に見るチカラを要求する。結構きつい。インチキくさいカルト集団と、それに寄生しようとする男の葛藤を描いたものである、と言っちゃえば身も蓋もないが、まあ僕にはそれほどこの作品にのめり込むほどの魅力は感じられなかった。

でも１950年代を映画で現代復帰させる美術、衣装、演出はさすが。人間の情欲のほとばしりを沸々と映像で訴えるアンダーソンはやはり映画作家でも特異な一人だろうと思う。でも前作と違い登場人物に魅力が感じられず、この作品は僕からは遠いものとなるような気がする。