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[コメント] ザ・フライ(1986/米)

地下核実験、大気圏核実験、臨界前核実験その他色々の研究と実験の行き過ぎを風刺した映画として見ても面白いし、女性の免疫がないことからくる多くのデメリットが端的に示されているのが程良く良い。ラブロマンスとして見るだけじゃ勿体ない映画であり、どこかのカテゴリーでひとくくりに語れない優れた映画でした。
ジャイアント白田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ある男の、研究に没頭し、成功間近になってテンションが上がりまくり躁状態が続く状態を、利用し、儲けて、かつ自分の名声を勝ち取る人間の姿が歴史上で何度繰り返されてきたのかわからない。

全ての男が持つダメダメな部分が引き起こすダメダメな物語が、歴史の教科書に刻み込まれているように、偽り無くダメダメ部分を一人の男にさらなるダメダメを背負わせて駄目男供養に勤しんだデビッド・クローネンバーグ。

その典型的でややデフォルメされた行き過ぎな彼を止めようとする女性の姿と、自分の力に酔い、全てに盲目になり始めて気づけば破滅している男の姿。蠅の目となってしまった彼の目が強調されるアップ、彼女に最後の哀願をしているシーンは、人は一人では生きていけないことと、愛する人で最後を締めくくれることのささやかな幸せを噛みしめているのを表現した素晴らしいシーンだったように思います。

死の苦しみを感じるのも、理性あるうちに彼女によって眠る幸せを滑り込ませた気遣いが、がさつなその他大勢の映画と違うことを物語っていた。

2003/8/5

(評価:★3)

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