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[コメント] CUBE2(2002/カナダ)

前作のナタリ監督が引き継いで居ない地点で期待はしていなかったのだが、ある程度見れた作品だったので安心はした。 2003年9月7日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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そもそもヴィンチェンゾ・ナタリ監督が鮮烈なデビューを飾った『CUBE』は、斬新なヴィジュアルと緊迫感溢れる心理戦を見事に描いた傑作だった。『CUBE』は作品そのものが一発ネタであり、最初に観客を「謎解き」のカオスに落とし入れ、「キューブとは何か?」と考えさせながら、その傍らで人間の汚さを徹底的に描き出した。結局カオスは人間が生み出していく物だと言う結末。そしてラストの光には鮮烈な感動があった。

所詮一発ネタ、と捉えるのもよし。「キューブとは何の為に作られたんだ?」と考えるのもよし。しかし、続編を作るべきではないのだ。前作で少しずつ明らかになりかけたキューブの全貌。しかし、中途半端な段階で映画は終幕した。キューブの外壁を設計した男が居た。数式は何かしら意味がある。部屋が移動している。

閉鎖空間の中で狂う者、助かろうともがく者。結局ナタリが描きたかったのは、「キューブ」ではなく、その中の心理戦に違いないのだろう。キューブはあくまで「場所」であり、”人間”を描く為の「道具」でしかないのだ。

で、今作は初っ端から予告で「暗号を解けば出れる」だの、本編じゃ武器会社やら天才ハッカーやら国防総省まで絡んできている。とにかくスケールがデカイ。つーか、この監督は「キューブの謎」を描く事しか頭にないのだろう?

前作の「部屋の移動」「数式」に加え、今作は時間軸のずれを用いた。そのアイデアは評価しよう。それによって、エンターテイメントとして深みが加わっているのはよく分かる。

カニバリズムまでやってくれてもう訳が分らない。好き放題やっているのはよーくわかる。見ててこっちも楽しい箇所もあった。だけど、結局何がしたかった?安っぽいCG合成を駆使した”仕掛け”は前作のアナログな”仕掛け”よりも現実味が薄れ愚鈍にしか見えない。数式も前作の「素数」みたいなフェイクでも何でもなく、単純な「計算式」と言う落ち。おまけに、狂わない登場人物たち。挙句、セックスしながら絶頂にたっしてミイラになっちゃったカップルなんて無理矢理すぎ!!それが精神の破綻によるものか、それとも単純な馬鹿なのか、そんな所も描かずに適当に殺しちゃったら何にもならないじゃないか。

CUBE』の魅力は登場人物が閉鎖された空間内で少しずつ自分を見失い、そしてストレスに押しつぶされて本性を曝け出す事に在るのではないだろうか?独創的なヴィジュアル、仕掛けは別の問題として。

今回は謎解きに拘っていて、ある程度のエンターテイメントとしては成功している。が、反面、薄っぺらいのだ。前作ほどの衝撃性は望める訳がないが、あまりに謎解きに終始する脚本にうんざり。

おまけに何だ、あの落ちは。てめーらなぁ、何度も言うけど『CUBE』は誰が作ったとか、何のため!?とかそう言う映画じゃないんだよ!武器会社やら政府絡ませて『X-FILE』したいなら『CUBE』以外の場所でやれ。そんなにやりたいなら、しっかり心理戦絡めてもっともっと深みのある脚本使え。

(評価:★2)

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