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[コメント] キリング・フィールド(1984/英=米)

ポル・ポト派入城直前の切迫感は筆舌に尽くしがたい。ラストのイマジンはちょっと狙いすぎ。以下、クソまじめなレビュー。
prick

 最近のアメリカはうざい。ブッシュの顔も白痴っぽい。

 でも、この映画に関してはアメリカ云々と言うのはどうだろう?

 友情が胡散臭い(※1)とは言うものの、シャンバーグは現地人従業員を救う努力をし、ニューヨークタイムズもAPも現地人従業員を救おうとした。

 反面、日本のマスコミはどうだ? 

 そりゃあ特派員的に心配はしたと思う。でもそれだけ。最後まで現地人従業員を救おうとしたという話は聞いたことがない。ポル・ポト政権以降、現地入りして捜そうとした話すら聞いたことがない。

 カーター大統領がポル・ポト政権を「現代最悪の非人道政権」と糾弾し、米国、欧州がこぞって大虐殺を報じた70年後半、我が国の政府は死都ブノンペンヘの大使派遣にご執心という有り様。おまけにマスコミはほっかむり、情勢の把握すらできていないという。

 どう思います?

 むかつくことではあるけど、米国の文化構造は日本のそれよりはるかに健康的かつ進歩的。その証拠に、かつて日本でこの手の映画が作られたことがあったかと問えば、皆無。米国では可能だった。そういうところは素直に評価してもよくない?

 「カンボジアで何があったかこの映画を見るまでまったく知らなかった」という人を見る度に思うけど、アメリカ云々言う前にやることがあるんちゃうのかなあと思ったり思わなかったり。島国的というか小国的な部分がまだまだ多いよ、我が国は。この映画では触れられていないけど、クメール・ルージュが奇怪なプロセスで権力を握り、異様な内外政策を行った背景には、中国共産党文革派の全面的な支援と指導があったということを知らない人も多いのではないだろうか。

 米国、ひいては中国、韓国にも云々言われる我が国だけど、多少は考える必要があるかもね。国際社会にでて恥ずかしくないか否かも同様に。まあ、逆のことももちろん言えるし、言ってやるべきだけどさ。勝者が笑者の法則もいい加減うざい。

 とにかく、この映画に関してアメリカ云々というのはあまりにも本質からかけ離れている。本質と関係のない批判は意味のある物と言えないよ。この映画で批判できるのは事実を不十分にしか伝えらなかった点だけ。即ち、ポル・ポト政権の「地獄の平和」はこれ以上に凄惨だったということだけなんじゃないのかな?(※2)

 国会は今日も鈴木宗男。

 平和だ。

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※1  シャンバーグとティト・ブランの関係が隷属的だと思ってる人が多いと思うけど、あれは当時としては最上級。我が国を含め、相当酷い扱いをしてたってのが事実。彼等が素晴らしいというのではなく、世界各国のマスコミがどれほどのものだったかと。余談ながら、「一人だけ助けるなんてうさんくさいヒューマニズムだ」というのはあまりにも本田勝一的なのでやめよう。

※2  ラストのイマジンも批判の対象ではあるけど、自分的に。正味な話、しらけたからマイナス1。

(評価:★4)

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