[コメント] コールド マウンテン(2003/米)
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監督のアンソニー・ミンゲラは、戦争というものに運命を左右される人々を描きたかったと語っているが、描かれていたのはまさに戦争に運命を左右された人々。戦闘シーンも迫力があり、伏線もしっかりしていたので、2時間35分という時間を忘れて楽しんだ。
役者は、主役の2人はもちろんだが、特に脇役の素晴らしさが際立っていた。中でもレニー・ゼルウィガーは、ともすれば深刻になりがちな話に温かな風を吹き込んでくれた。あとナタリー・ポートマンのあの爪の垢。細かい所だが感心した。
さらに要所、要所の音楽による引き締めも良かった。馬車の上や、ドナルド・サザーランドが亡くなるシーンでのピアノ。あらゆるシーンで出てくるフィドルとバンジョー等、数え上げたらキリがない。それらの全てが役者の自演だというのだから、これはもうビックリだ。
しかし、弱い点もたくさんある。
まず導入部分。あれだけでは物語の根幹となるインマンとエイダが惹かれあう必然性が感じとりにくい。さらに、はたして彼らは再会できるのだろうかというよい意味での緊張感が、皮肉なことに再会によってプツリと切れてしまうのも痛い。だからせっかくのクライマックスが今ひとつ盛り上がらないまま終わってしまうのだ。さらに言うと、ただでさえそのような思いを抱くのに、丁寧すぎる後日談がその思いを余計に強めてしまった。このあたりは明らかに失敗で、残念で仕方がない。
とは言うものの、全体を通して考えるとなかなか見所が多い佳作だ。たまには「映画〜っ!」って感じにどっぷりと浸りたい人にはいいと思う。
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