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[コメント] 悪太郎(1963/日)

「訳の分からない映画を撮る監督」としてすっかり定着してしまった鈴木清順だが、少なくともこの時点ではオーソドックスな演出も非常に優れていたことが分かる。
太陽と戦慄

切ない青春映画の傑作と言っても過言ではないと思う。『けんかえれじい』の荒々しいパワーも良いが、この作品のしっとりとした叙情性も捨て難い。

一冊の小説をきっかけに始まる若い二人の恋愛。可憐な和泉雅子が大変素晴らしく、その儚い美しさに目が釘付けになる。山内賢とのキスシーンなどとても色っぽく、なんてロマンチストな監督なのだろうと感嘆してしまった。

山内賢が友人に語る童貞喪失エピソードの回想シークエンスも見事な出来で、ここでもやはり芸者の女の描き方がいい。脇役では、「タコ」というキャラクターを演じる野呂圭介が光っていた(後の『悲愁物語』での役柄ともダブる)。

(評価:★4)

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