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[コメント] 隣の家の少女(2007/米)

充分に気分悪いけど、それでもこれはケッチャムの『隣の家の少女』ではない。
ペンクロフ

この映画、主人公の少年が正義の味方すぎるのだ。

ケッチャムの『隣の家の少女』の少年は迷いと混乱の中で虐待を看過し、時に参加し、時に正当化さえする。少年の逡巡は、虐待そのものよりも恐ろしい。少年のゆらぎと同じゆらぎが自分の中に存在することが、何よりも恐ろしい。ケッチャムは「お前もそうなんだろ?」と問うてくる。こんな本、読まなければよかったと心から思う。しかし、読むべきだった、読んでよかったのだとも思っている。

映画はこの部分をバッサリ切った。主人公は「無力ゆえ虐待を防げなかった少年」であり、この体験から「気持ちが大切なんだ」と学んだという。まあ君はそれでいいかもしれんけど、それは、全然、まったく『隣の家の少女』じゃないよな。

たぶん、トビー・フーパーが『悪魔のいけにえ』と同じ予算で撮ればよかったんだ。『隣の家の少女』を映画にしようと思った時点で、商業的な成功は諦めなきゃいけないよな。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)袋のうさぎ YO--CHAN ユリノキマリ shiono

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