[コメント] 太陽はひとりぼっち(1962/伊)
ヒールの音、扇風機の音、そしてモニカ・ヴィッティの虚脱感に満ちた表情で、冷めた恋愛関係を丹念に表現した冒頭シーンが素晴らしい。終盤の難解さを「理解できない」で片付けるつもりはないが、前半での心理描写に惹きつけられたゆえに、蛇足が多いとも感じてしまった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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臨場感がある証券取引所のシーンだが、ここでの大暴落が映画においてどのような意味をなすのか。その捉え方によって解釈が変わってくる映画ではなかろうか。ここを境に大きく流れが変わった。
一度の恋愛の失敗により根付いてしまった愛への恐怖感、という視点では同じテーマでモニカ・ヴィッティを描写していて、なおかつ彼女の演技や風景と重ね合わせた隠喩的な心理描写も素晴らしいのだが、その部分が良ければ良いほど証券取引所での一連のエピソードとの関連性がないように見えてしまうのだ。
ラストを飾る風景の数々は、無機質な残像を頭の中に残し、理解不能さ加減がアントニオーニの特徴と捉えているので特に異論はないが、やはり中盤に蛇足と思えるシーンが多く存在したことによる悪影響が最後まで拭えなかった。
ともかく、冒頭10分は必見の作品。
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