だって「詩人の王子様」に、あんなこと言われたらナタリアが「約束」って思いたくなっちゃうのも無理はありません。

でもマリオにとっては、とても悲しい失恋の「約束」。しかも”もしかしたら”という淡い希望の（残酷な）おまけつき。

もうここで気持ちはマリオの方に入ってしまう。ビスコンティの演出のとりこになって、ちょっとした描写が、いちいち胸に刺さります。

何故いつも敗北する人に感情移入してしまうのかな。片想い体質？でもビスコンティは弱い人たちにも温かい。卑怯な人間には（決して許されることはないのだけど）自らの断罪を。自滅すつ人間には最高の陶酔を。そして報われない人間には挑戦した誇りを･･･。この上もなく美しい映画たち。愛して止まない監督です。