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[コメント] パニック・ルーム(2002/米)

ジョディ姉さまと一緒に閉じ込められるならそのままミイラ化したってかまわないとさえ思う俺にとっては、貶しようが無い映画だった。暗闇の中で、時に激しく煌めくその表情と、常に優しく白い胸元が、女神のそれ以外の何ものにも見えなかった!
kiona

ウィテカー扮する犯人の人間味と巡回警察官の意外な職務執行能力及び使命感に、フィンチャーの美徳を見た。筋を収束させるための後付けに過ぎない?一概に否定はしないが、考えても見て欲しい。そもそも、娯楽映画においては、筋を転がすための意匠なんて、全て後付けである。無論、後付けを施している様に見えない脚本は存在するし、そういったものの方が望ましいに決まっている。だが、それは常に可能なことではなく、むしろ奇蹟的なことなのだ。そして、自分は、そんな脚本の凡庸さを差し引いても、挙げた二人のアクション(行為、行動)を好ましいと感じた。それは、後付けに真心を込めようとする演出と演技があったからだと信じる。

混迷し荒廃した現代社会とその人間関係をシニカルに描きつつも、それを、他の凡百の同世代監督のように、MTV感覚で終わらせてしまわない何かを、常にフィンチャーの映画に感じてきた。都市型の人間関係を嫌って憚らないスピルバーグと違って、フィンチャーはうんざりしつつも、どこかでそれを捨てきれず、信じたがっているように見える。スコセッシと同じく(そういう視点で、『救命士』をご覧あれ)。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ごう[*] けにろん[*] ゑぎ[*]

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