吉行和子の婆ちゃんぶりは飄々として味わい深いものがあり、工藤夕貴、山本太郎など深い印象を残す役者もあったが、過去の自分を振り返る三宅裕司の姿がウットウしくて仕様がない。

そして、折角好演している吉行のセリフも、原作本の名セリフを無理やりつなぎ合わせたように聞こえ、胸を打つ以前にげっそりしてしまう。この監督に求めても無理なことかも知れないが、もう少し人の心を動かせる演出を勉強してほしいものだ。結局「あの」Ｂ＆Ｂのボケ役が書いた小説の映画化などこんなものか、と思わされてしまった。