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[コメント] 出口のない海(2006/日)

甘ったれた佐々部清作品に山田洋次がしっかりした軸木を入れるという意味で、いざ海老蔵の出撃シーンまでは期待は大きく高まった。だがそれは、後半15分でもろくも崩壊する。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







日本映画には望むべくもない展開だが、海老蔵を載せた回天が敵艦に突っ込み、炎と流れ込む海水の中で彼が無意味にも壮絶な戦死を遂げたなら、自分はこの脚本及び映画から大きな衝撃を受けることになったろう。同じ回天乗組員の伊勢谷の言う「軍神になる」という行為をそれこそ苛烈に、ためらいもなく描いたのだから。

だが主人公はお話の都合で運良く生き残り、海岸で後輩とキャッチボールをしながら、あろうことか彼に問われてこの作品のテーマを恥ずかしげもなく喋ってしまうのだ。

「俺は人間魚雷・回天の存在を後世に伝え、知らしめるために死ぬのだ」

これだけでも随分観客を舐めた脚本だと判るが、その上に海老蔵はもっと無意味な事故で海底に沈み、家族や恋人(上野樹里はないだろう!)に長々と置き手紙を残して死ぬのだ。この涙を誘うだけの、志の全くない描写といったら返す言葉も無い。そして無意味な現代の六大学野球スポット…日本には泣かせ要素を排除した戦争ハードボイルド映画がすっかり死に絶えてしまったことを痛感した。

前半の緊張感と尾高杏奈の頑張り、愛らしさに1点プラス。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)ナム太郎[*] アルシュ[*] IN4MATION[*] にゃんこ 直人[*]

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