些か類型的過ぎる悪役の存在は、子供のための理解しやすい演出と見過ごすのが正しかろう。

巧の反抗的態度は、自分にはそれほど「痛い」とは思われなかった。それは弟や、友のことを思いやる気持ちと裏表であり、彼は決してそれを裏切らないプライドを持っていることが感じられるためだ。そして、友たちの何の理屈も衒わない真っ正直な友情は、そのままストレートに心に響いてくる。

主人公をカッコ良く描きすぎる筆致は、原作者あさのの思い入れもあるのだろうが、それは極めて感情移入しやすい、という意味で成功しているデフォルメだし、嫌味なく判りやすいグレ具合だ。

基本的にＣＧでいじることも最小限にとどめ、自然な背景の下で子供達にのびのびと演技させたことが、今回の成功には繋がっていると感じている。滝田洋二郎、まだまだ侮りがたし、か。