シャーリー・マクレインの娘であり、本名がサチコであることしか事前知識のないこの女優については、むしろ大役を無事こなせるのか、という不安しか抱いていなかったから、彼女が考えたよりずっと自然体で日本語演技が出来、会話を成立させられたことにほっと胸を撫で下ろすとともに、これほどの逸材がこの国では全く知られていなかったことに勿体なさを感じたものだ。包容力、落ち着き、多少の日本語への不慣れを差し引いてもその存在感は大したものだ。この「西の魔女」という役は彼女にとってはうってつけのものといっていいだろう。

少女の高橋真悠が全く可愛げがないのは仕方のないことだろうが、まだ脚本を素直に演ずることしか知らない彼女なのだから、脚本はもっと練り上げて欲しかった。漢語臭のプンプンする台詞の羅列は、いちいち「やまとことば」に書き換えてやりたい衝動にかられる。このあたり、まだ学生気分の抜け切らない脚本家にはフォローが欲しかったものだ。今後の精進に期待する。